今年の秋は、もういい加減大人だし、食欲の秋から
芸術の秋へと移行しよう!!と決意していたのですが
結局達成できず、反省の秋でした。
これではいけないと、先日撮影に呼んで頂いた帰りに
東京写真美術館に立ち寄り
「遅れてきた芸術の秋」を満喫してきました。
開催されていたのは、セバスチャン・サルガドの「アフリカ」
木村伊兵衛とアンリ・カルティエ=ブレッソン「東洋と西洋のまなざし」
なんてラッキー!!!
訪ねる時期によって、自分好みの展示がされているとは限らない美術館。
それなのに、一挙に2展示も素晴らしいものが行われていたのです!!!
逸る気持ちを抑えて、まずは「アフリカ」へ。
幻想的なアフリカの大地や人の姿を写したものと
生々しい現実を写したものが入り混じって、心が翻弄される作品たちでした。
印象に残ったのは、ミグ戦闘機の攻撃から逃れるため、夜通し歩いて
やっとキャンプに到着した難民を写した一枚。
大木の根元に、ボロボロの体を寄せ合い休む人々。
それを包み込むように朝陽の木漏れ日がシャワーのように降り注いで
とても幻想的な風景。
でも悲しい現実。
もう一枚、簡素な我が家に火を放ち、それを見つめる親子の後姿。
「もう二度と難民には戻るまい」と決意をし、旅立つ時の様子だそう。
どれも胸が締め付けられるような写真の数々。
大地の力、人間の生きる力、無力さを感じる展示でした。
次は木村伊兵衛とブレッソン。
私の「勝手に師匠」の中のお2人。
こちらは、これまでにも見たことのある作品が多かったので
「ふん♪ふん♪」といった感じで見進めていったのですが
最後に2人のコンタクトプリントが展示してあり、これが最高に興奮しました。
私ごときが、全て読み取れるわけではありませんが
彼等の迷いや決断が集約されたコンタクトプリントを生で見られるなんて!!!
しかも、見比べができるなんて!!!!!!
大興奮で見入ってしまいました。
コンタクトプリントというのは、ネガを直接印画紙に焼き付けたもので
撮り手の着眼点、失敗、迷い・・・全てが赤裸々に出るプリントです。
私が撮らせて頂いたお客様にもお渡ししていて、珍しいのもあってか
コンタクトプリントそのものを飾っていただく程、人気があります。
師匠のコンタクト。
同じ画角で数枚シャッターが切られた物を見ると、「師匠もそうなんだ♪」と
勝手に安心したり、定まっていなかったのかな?と思えるカットを見つけると
「何だか親近感♪」とウキウキしながら見てしまいました。
ポートレートのカットは、何カット目に笑顔が来ているかに興味を持ちました。
会話をしながら撮ったのかが、とても気になったからです。
美しい女優の憂いに満ちた表情がふっと崩れたカットなんかは
「何て声かけたんだろう?????」って妄想モード。
素晴らしく充実した時間でした。
ガソリン補給したって感じでしょうか。
こういう時間は、とっても大切だなと痛感しました。
そして、この機会を与えてくださった、素晴らしいお天気で小春日和の
明治神宮で挙式をされたmasao様、toshiko様、お2人に感謝をいたします。
木村伊兵衛とブレッソンは2010年2月7日までやっています。
皆さまもぜひ、素晴らしい作品に触れてみてください。
東京写真美術館
http://www.syabi.com/index.shtml