その小さな野池は湧水に乏しく、いつも落ち葉でにごり、夏は水草で蔽われるが・・・
季節ともなれば、緑陰に真鯉の群れが恋のみずしぶきをあげる。
これはそんな池と森を舞台に描かれた、ひとりのコンテンポラリーダンサー(振付家)
とのコラージュである。
(写真集より)
京都で開催された写真展。
Pond-Dodoと題された徳永數生氏の作品です。
徳永氏は、以前撮影させて頂いた新婦様のお父様で
物静かなお人柄そのままの、素敵な写真を撮る方。
私のお客様は、写真好きな方は勿論、ご実家が写真館や写真店だったり
お父様が写真家やメーカーにお勤めだったりとプレッシャーのかかる方が
何故か多いのです^v^;(ドキドキ)
中にはご親族も写真関係の方が多く
「見本市ですか?」というほどの素晴らしい機材の砲列の中で
私が一番こじんまりした地味な機材で、チ~ンと居てる・・・・という事も。
挙式後もこうして個展のご案内を頂いて、ご縁が続くというのは
とても嬉しいことです。
始まるとバタバタと慌しい結婚式ですが、その中でまるでたっぷり
特別に時間があったような、静かな写真を撮りたいと思っています。
ですが、「音」を撮ろうとまでは思ったことがありませんでした。
徳永さんの写真に触れ、その静かで優しい写真に惹きこまれて
美しい静寂があるという事を知りました。
私も静寂という「音」を撮りたいと思いました。
でも、これがとっても難しい・・・。
ギャラリーには、神秘的な森とその畔の池の水鏡に映る
ダンサーの一糸纏わぬ姿が、何とも静かに美しく表現されていました。
撮影時のエピソードを伺っていると、シャッターを切る事への愛情と慈しみが
伝わってきます。
感性を写すという事は、大切に自分の全てを注ぐ事なんだと教わりました。
作品撮りとスナップは形態が違うとはいえ
最近の「1度に何千枚撮った」というのを自慢げに聞くにつれ
何だか違和感を覚えてきたのは
この「一枚に注ぐ力」を感じないからなのだと気づきました。
「いやあ、大変ですよ」
穏やかで優しい笑顔は、舞台となった森の木々のように
大きく深いものでした。
素晴らしい時間をありがとうございました。
個展は終了しましたが、写真集は手に入るかもしれません。
http://www.ricordi-sfera.com/ja/exhibition/index.html